進歩

レッスン室で嬉しいこと数あれど、

これに勝ることはない。

 

なかなか軌道に乗れず、

いつも浮かない顔をしていた子に、

自信が出てきて、

打ち解けた笑みを浮かべる…。

 

その微笑み、雪割草の如く…。

遠慮がちではあるけれど、

その心根に潜んでいる、

意思の強さを感じさせてくれる。

 

とかく不器用な子は、開花が遅い。

不器用だから、少しずつしか進めない。

…けれどそれは、

ダメとイコールでは決してない。

 

私は、進歩というものを、

5年、いや10年のスタンスで考えたい。

曖昧模糊としたまんま、

千里の道をただ彷徨うよりも、

全景を堪能しながら、

着実に一里を歩む。 

 

そうやって獲得した能力は、

一生消えることはなく、

その人の中に残っていく…。

 

進歩は、誰だって早い方が良い。

私だって、そう思う。

でも、一番強くそう感じ、

もどかしく思っているのは、

他でもなく、

悪戦苦闘している生徒自身。

 

だかららこそ、見守る自分が、

絶対に焦ってはならない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー