バイエル練習曲第67番。
この曲を私は、
多声音楽へ入れるかどうかの、
検定課題曲として利用しています。
それまでこの教則本では、
スラーの取り扱いを、
レガートスラーのみに限定していますが、
ここで初めて、二つの音に跨る、
アーティキュレーションスラーが、
旋律を演奏することに不慣れな、
左手に登場します。
音としては、
属音ー主音の単純な繰り返しですが、
このアーティキュレーションが、
書き加わえられることによって、
多声演奏の難易度が、
急激に高くなります。
そして、この課題の右手には、
アーティキュレーションが欠損していて、
指導者または生徒が、
補足しなければならないのですが、
これは、遠い将来バッハを学ぶ際に、
必ず行き当たる問題で、
その準備に向けての、
初めての体験となるものでしょう。
いずれにしても、
フレージングとアーティキュレーションを、
完璧にこなすには、
かなりの基礎力が必要で、
それがクリアできたなら、
その向こうに、
多声音楽への入り口が見えてきた、
ということになるわけです。
この練習曲は、そういう意味で、
この教則本の中でも、
非常に難易度の高いものに、
数えられるのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー