前回の和声分析の書き込みについて、
転調部分を訂正し、添削してみました。
楽曲というのは、基本、
主調に始まり主調に終わりますが、
ある程度の長さの曲になると、
途中で何度も転調を繰り返します。
転調には、色々な手法がありますが、
基本的なものを二つ挙げると、
①ある調の和音を、
他調の和音に読み替える
②借用和音を用いる
この曲では、
1.の手法が用いられています。
第1~8小節は、
単純なトニクードミナントの繰り返し。
そして第9小節に入った時、
人は通常これを、
ヘ長調のⅠと聞き取ります。
しかし、第10小節のメロディーラインにある、
H(シ)の音を聞いた時、
前小節と同じF・A・C(ファ・ラ・ド)
で構成されるこの和音が、
もはやヘ長調のものではないことを、
悟ります。
少し専門的な説明を加えると、
第8、9小節の和音は、
構成音が共通している
同じ和音なのですが、
機能的には、
第8小節がヘ長調のトニク、
第9小節が、ハ長調のサブドミナント。
第9小節に入った時感じる、
「あれ~、何か変だぞ⁇」
という感覚は、
和声機能の変化に起因するものです。
この和声機能の変化は、
H(シ)の音を、
B(シ♭)で弾いてみることで、
体感できるでしょう。
和声分析の記述方法は、
一通りではありませんが、
私が採用しているのは青字もので、
転調の方法をより明確に感じるため、
上に説明した内容を、
下の写真のように、
(赤字)書き入れておくと、
和声感を養うために役立つと思います。
モーツァルトや、
ベートーヴェンは言うに及ばず、
ショパンやリストの音楽も、
結局、
この基本の応用の上に成り立つもの。
初歩の内に、
このようなことを身に着け、
将来に備えたいものです。
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