掲載楽譜は、ドビュッシーの「夢」。
楽譜中段、
3/4拍子の表記がある小節は、
実音で記されたアゴーギックです。
このような表記は、
モーツァルトにも頻繁に登場しますが、
ロマン派以降の作品に比較すると、
古典派は、少し取り扱いが難しいので、
苦戦する人が多いようです。
ブラームスのト短調ラプソディーにも、
実に良く書けた類似の表記があるのを、
ふと思い出しますが、
複合リズムを利用したこれらの部分は、
リズムに乗って、
しかも楽譜通りに演奏すれば、
非常に緻密で美しく、
自然なアゴーギックが生まれます。
好き勝手に揺らしまくることと、
リズムに則って、
自然に揺蕩うことの相違は、
中々言葉では説明できないものですが、
こういう楽譜を残してくれたことは、
とてもありがたいことに思えるのです。