旅立ちに寄せて

子供の生徒に限定した話をすれば、

春は、出会いと別れの季節。

今年もまた二人の生徒が、

巣立っていった。

 

長く教えた生徒が離れていくのは、

寂しいものだけど、

このところ、その旅立ちを、

心から祝福できる別れが続いていて、

幸せを感じる。

 

私が全ての生徒に望むのは、

どの教材の何番まで進んだかとか、

そんなことではなく、

進めたところまでのことを、

漏れなく自分の力にし、

財産にして欲しいということ。

 

技術は、訓練をしなくなれば衰える。

でも、教養は簡単には失われない。

 

音楽以外の道を選んだ生徒たちが、

いつかそれぞれの分野で花開き、

そう言えば、昔、

ピアノでもこんなことを習ったな…と、

ふと思い出してくれることがあれば、

それで良い…。