記憶違いの音

本番を終えた後の、

生徒の音色の変化には、

いつまでたっても慣れないほどの、

大きな驚きがある。

 

指導者は、

定期的に指導している生徒の音を、

鮮明に記憶しているもの。

それは、先入観にもなるわけで、

だから、記憶違いの音を出されると、

単純に驚いてしまうわけだ。

 

どんなに浮き沈みの激しい生徒でも、

本番後に沈んだということだけは、

まずない。

 

ステージに上がることは、

百回のレッスンよりも多くのことを、

教えてくれるのだと、

毎回思うことを、また思う。